本の虫
須賀愛佳里(白百合学園高等学校)
本が好きだ。白と黒の単調な羅列の奥には、まだ見ぬ鮮やかな景色がどこまでも広がっている。一枚の紙からむくむくと立ち上がってくる響きを、光を、香りを、敏感に嗅ぎ取って、どこまでも掠め取って、そうして本の虫になるがいい。行儀よく並ぶ背表紙なんかに騙されないで。その奥に広がるまばゆいばかりの鮮やかな世界を、どうかその目に焼き付けて。本は、私の翼になる。青春を泥臭く、堂々と生き抜いてゆくための、翼になる。